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2008年07月12日

コロー展 光と追憶の変奏曲

熱い語りを聞いて以来、とても楽しみにしていたカミーユ・コロー展。
もう、失神するくらい酔いしれてきました。

今回話題になっているのはモナリザだけど、私が興奮した作品のほとんどが風景画。
チヴィタ・カステラーナの岩々、オーベルラントのスイス女性、ティヴォリ、ヴィラ・デステ庭園、
フォンテーヌブローの森のアプルモン峡谷、ヴィル=ダヴレーの池、海辺の村、傾いた木、身づくろいをする若い娘、
水浴するディアナ、青い服の婦人、サン=ルーブルの道、モルトフォンテーヌの想い出。
雲や水面はもちろん、逆光や夕暮れ後をあんな風に描けるなんて。衝撃だった。

旅の記憶を頼りに描くとき、リアルな地形よりも叙情性を大事にしていたと書いてあった。
全体の印象をより忠実に表現するために、後から存在していなかった男の子を足した作品もあった。
現実に控えめに色づけされた心象風景。

だけど、彼にとっては目に焼き付いた記憶そのものなんだろう。
尊いものや愛しいものを目を細めて、幸せな気持ちで眺めているときのように、
切り取られた1シーンが、輝いていて。まるで遠くから見守っているような絵が多いように思う。

どっぷり浸かり過ぎてバウハウスに行く余裕もなく。ハシゴを断念した代わりに、不忍池のおでんで一服。
淀んだ水面に浮かぶ緑に、マティスの金魚が重なった。

素敵な絵ほど、技法やら構図やら造る側の目線で観てみようと試みるのだが、
素敵な絵ほど、それは適わない。
ただただ絵として観てしまう。気づいたときには世界の中に引き込まれてしまっているのだ。

そんなことを改めて思ってしまうほど魅力的な絵画ばかり。
モネ、シスレー、ピカソなどの作品も、同じモチーフをテーマに並べられていたりして豪華な展示でした。

***** コロー 光と追憶の変奏曲 *****
会期:2008年6月14日(土)~8月31日(日)
場所:国立西洋美術館
URL:http://www.corot2008.jp



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