2年前「美の伝統展」で観た東山魁夷の「青い谷」が忘れられなくて、生誕100周年の展覧会に行ってきた。
場所は国立近代美術館。スケッチを含む150点もの作品を堪能。
昨年、同じく生誕100年で観た靉光の作品とは対照的な絵。もちろん人柄も優しく素晴らしい才能を持った人だったのだろうが、
同じ状況下、戦前後であるにも関わらず余裕のある暮らしぶりもうかがえる。

初期の作品はとても滑らかで流れるような細いタッチ。個性の確立を築いていく様がわかる展示の仕方が面白かった。
「残照」のゆっくりと変わっていく空のグラデーション。
ポスターにも掲載されていた「花明り」は、いつか見た月暈に照らされて、輝くしだれ桜がとても幻想的。
他の作品にも言えるが「冬華」「白夜光」は、脚色された光の具合がとてもロマンティック。
「若葉の季節」の緑の多様さ。同じ風景画でも人や生き物がほぼ存在していない魁夷の絵にはいつも静けさがある。
長野の山「山の雲」も、墨で描かれた中国「灕江暮色」「群れ立つ石峰」も、何より霧と雲が素敵。
それに包まれた山や海に、時の流れが生まれていて、まるで絵の中に入って風景に溶け込んでしまったような気がする。
フライブルグの夕暮れとされる「晩鐘」、オーストリアのクレームスを描いた「坂道の家」が、夜明け前のプラハの街並みと似ていて、恐れ多くもいつか私もあの場所を形にしてみたいなぁと思ったり。
期待どおり切り取った時間を観れたうえに、意欲ももらえた展覧会でした。
そうえいば美術館と映画館は少し似ている。
既に見ていたはずの風景が作品に色づけされて、ふわふわと不思議とな気分になるのがとても心地よい。
月さえもいつもと違って見えるのだ。
会期はあと1ヶ月半。魁夷の作品は長野の信濃美術館、香川のせとうち美術館でも観れるようです。















Comments (3)
うわーやはり気が合う。
これ超見に行きたかったのだわ。
Posted: agata | 2008.04. 1 11:18
Date: 2008年04月01日 11:18
東山魁夷の絵、大好きです!!
5/18まで展覧会やってるのかぁ。
時間作って行ってみよ~っと。
Posted: のぶあき | 2008.04. 1 22:06
Date: 2008年04月01日 22:06
>agata
いやーん、ラブ。ぜひトリップしてきて!
江古田ちゃんから魁夷まで、幅広いなーオデたち笑
ガソリン税も下がったし、ヘンタイツアーも絶好調の予感。ウキウキ
>のぶあき
おひさしぶり〜元気?
やっぱファン多いねぇ。人柄あってこその絵、な感じがするよ。(たぶん)
前に瀬戸大橋通ったって言ってたよね?せとうち美術館降りてすぐの辺にあるらしい。
桜も綺麗だったよ、いってらっしゃい!
Posted: anzu | 2008.04. 2 2:11
Date: 2008年04月02日 02:11